日本環境感染学会誌
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報告
ICT院内ラウンドによる抗MRSA薬適正使用への取り組みに関する評価
山下 和彦中村 任田中 健太李 宗子木下 承皓横山 直樹栄田 敏之平井 みどり荒川 創一
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キーワード: ICT, 抗MRSA薬, 適正使用
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2008 年 23 巻 5 号 p. 366-370

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抄録

  当院では,1999年度にInfection Control Team(ICT)が発足し,2000年度よりICT院内ラウンド(以下,ラウンド)を開始した.今回,ラウンドによる抗菌薬適正使用への取り組みについて,その介入効果を評価した.対象は,抗methicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)薬投与患者およびMRSA培養陽性患者とした.調査項目は,当院における2000年度から7年間の抗MRSA薬使用状況(使用量,使用患者数,投与日数)ならびに抗MRSA薬[バンコマイシン(VCM),アルベカシン,テイコプラニン(TEIC)]のTDM実施率およびTEICの負荷投与実施率とした.その結果,ラウンドの実施により,抗MRSA薬全体の使用量は減少傾向を示した.ラウンド実施後7年における評価として,VCM投与日数は13.7±14.2日(N=172)から8.2±11.1日(N=299)に有意に減少した(p=0.0001).さらに,VCMのTDM実施率は,33.3%から70.6%に有意に増加し(p<0.001),抗MRSA薬全体のTDM実施率も29.7%から63.4%に有意に増加した(p<0.001).TEICの負荷投与実施率は増加する傾向が見られた.これらの結果より,ICTによるラウンドが抗MRSA薬使用の適正使用につながることが示唆された.

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© 2008 一般社団法人 日本環境感染学会
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