日本環境感染学会誌
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原著・短報
pH 7.2二酸化塩素系消毒剤の殺菌効果と皮膚刺激反応
梅田 和徳奥田 研爾
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2009 年 24 巻 4 号 p. 237-243

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抄録

  pH 8.8二酸化塩素系消毒薬は,安定化二酸化塩素を主成分とする消毒液である.我々はこの消毒剤の各種微生物に対する殺菌・静菌効果を明らかにして来た.しかし,開発した二酸化塩素系消毒剤はpH 8.8のアルカリ性の液であるため,皮膚等に頻回塗布すると,痛み,発赤,痒みなどの症状が出現する.酸性の電解水により,pH 8.8の二酸化塩素系消毒剤を中性にすることで,皮膚刺激症状を回避し,その殺菌効果を保持することができるか否かを検討した.中性化したpH 7.2二酸化塩素系消毒剤とP. aeruginosa, S. aureus, C. albicans, S. marcescens, MRSAの微生物を反応させた場合,5分間で菌数が検出限界以下になり,強い殺菌効果を持つことが明らかになった.また実際に使用する4倍の高い濃度でモルモットを用いた皮膚刺激性試験においても,pH 7.2二酸化塩素系消毒剤による発赤等の副反応は見られなかった.
  このように中性に調整した二酸化塩素系消毒剤(3000 ppm含有)は安全性が高く,刺激臭も無いため,病院内・介護施設等における医療現場への応用への新しい消毒剤として大変有望であると考えられる.

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© 2009 一般社団法人 日本環境感染学会
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