抄録
0.5 w/v%クロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)エタノール製剤を用いたウォーターレス法と,4 w/v%CHGスクラブ製剤と0.2 w/v%CHG含有エタノール製剤を用いたスクラブとラビングの2段階の方法(従来法)の各手術時手指消毒方法につき,医療従事者30名を対象に比較検討した.両方法の菌数減少値は,消毒直後はウォーターレス法;1.443±0.647,従来法;1.508±0.801,また消毒3時間後は同1.431±0.716, 1.251±0.745を示し,ともに有意な差は検出されず(p=0.565, p=0.173),両方法の手指消毒効果は同等と判断された.従来法に比べ,ウォーターレス法では処理時間の短縮がみられ,安価であった.さらに満足度調査において,ウォーターレス法の満足度は高い傾向にあった.総合的に,CHGのような持続活性を有する成分を含有したアルコール製剤によるウォーターレス法は,手術時手指消毒として有効に活用しうる方法と考えられる.