日本環境感染学会誌
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報告
抗菌薬・抗真菌薬の TDM 実施に関する実態調査
鈴木 佳奈子前澤 佳代子寺島 朝子堀 誠治木津 純子
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2009 年 24 巻 5 号 p. 353-357

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抄録

  抗菌薬を有効かつ安全に使用するためには,Therapeutic Drug Monitoring(TDM)が重要であるとされているが,その全国的な実施動向について検討されたものはない.今回,各施設における抗菌薬・抗真菌薬のTDM実施状況について,ICT体制などとともに調査した.全国有床診療施設のうち約1000施設の薬剤部門に対し,アンケート調査を実施し,540施設から回答が得られた.TDMの実施率は,病床規模ごとに38%~92%と差があり,大規模施設で実施率が高かった.ICT設置有無ごとのTDM実施率は,設置施設82%,未設置施設46%と設置施設で高く,同規模内での比較においても同様の傾向がみられた.抗菌薬の種類ごとのTDM実施率は11%~73%であり,バンコマイシン73%,テイコプラニン57%,アルベカシン60%と抗MRSA薬の実施率が高いことが認められた.一方,最近になり特定薬剤治療管理料の保険適応が認められた抗真菌薬ボリコナゾールの実施率は11%であった.今回の調査より,全国の多くの施設で抗菌薬・抗真菌薬のTDMが実施されているものの,その実施状況は施設により大きく異なることが確認された.

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© 2009 一般社団法人 日本環境感染学会
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