日本環境感染学会誌
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原著論文
清潔間欠導尿法における尿路感染症の検討
吉川 和朗満田 正樹山崎 勝利上門 康成
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2010 年 25 巻 2 号 p. 73-78

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抄録

  清潔間欠導尿を施行している排尿障害患者53例を対象に,導尿や消毒の状況についてアンケート調査を行った.また,尿および導尿時に使用している消毒綿の細菌培養検査を行い,尿路感染症との関連性を検討した.1年間に53例中40例(76%)に尿路感染症がみられ,年齢,1日の導尿回数,カテーテル保存液交換の期間が有意な因子であった.消毒綿の培養検査を行った患者37例中17例で菌が検出され,これら17例中2例の検出菌が尿培養の検出菌と一致しており,消毒綿の汚染が尿路感染症に寄与する可能性が示唆された.1年間に53例中35例(66%)に対し抗菌薬が投与されており,35例中21例(60%)は2週間を超える長期間抗菌薬を投与されていた.抗菌薬投与患者35例中14例で投与薬剤と同系統の抗菌薬耐性菌が検出された.耐性菌検出14例中7例が投与期間2週間以内であり,短期間の投与でも耐性菌が発生することが示唆された.これらの所見より,清潔間欠導尿施行患者の尿路感染症予防には適切な導尿法,カテーテル管理の指導が重要であると考えられた.さらに適切な指導で尿路感染症を予防することにより,抗菌薬投与を減らし,耐性菌の発生を予防する必要がある.

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© 2010 一般社団法人 日本環境感染学会
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