抄録
2007年8月より2009年9月までに26名の患者から多剤耐性緑膿菌(MDRP)が検出された.このうち2008年1月より連続して新規に検出された10例10菌株についてPFGEを行ったところ8株が近縁株であった.すべて尿道留置カテーテル使用患者であり,尿道留置カテーテル及びバッグの取扱いと尿処理の不備により院内伝播したものと考えられた.近縁株以外の株も存在したことから,地域にMDRPが保菌されている患者が存在する可能性があり,選択圧を避けるため抗菌薬の適正使用の重要性も伺われた.中小規模病院では細菌検査室が設置されていないことやICD, ICN不在の場合が多いが,当院では感染制御専門薬剤師を含めたICTの指導によりMDRPのアウトブレイクを収束させることができた.