日本環境感染学会誌
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報告
中心静脈カテーテル挿入部の感染予防におけるマキシマルバリアプリコーションの評価
鶴岡 恵子常岡 英弘
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2013 年 28 巻 6 号 p. 348-354

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抄録
  造血幹細胞移植は血液疾患における標準的治療法であり,患者への中心静脈カテーテル(CVC)の挿入は不可欠である.しかし,その挿入に伴い中心ライン関連血流感染(CLABSI)が生じ,移植後の主な死亡原因となっている.本感染症予防はCVC挿入時の高度無菌遮断予防(マキシマルバリアプリコーション)が有効という報告に基づき実施されている.しかし,その後のCVC挿入部のケアとCLABSI発生の関係において,種々の研究報告はあるものの,CVC挿入部のドレッシング交換における装備について比較検討した報告はない.本研究では無菌室で造血幹細胞移植を受けた34症例のCVC挿入部のドレッシング交換を,未滅菌手袋14症例,滅菌手袋11症例,およびマキシマルバリアプリコーション9症例の3方法に分けて施行し,どの方法がCLABSIを低減できるかについて比較検討した.その結果,34例中13例がCLABSIと確定され,方法別の1,000カテーテル日あたりのCLABSI発生率はマキシマルバリアプリコーション7.5件,未滅菌手袋9.5件,滅菌手袋10.1件であったが,有意差は認めなかった.
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© 2013 一般社団法人 日本環境感染学会
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