日本環境感染学会誌
Online ISSN : 1883-2407
Print ISSN : 1882-532X
ISSN-L : 1882-532X
報告
医療従事者における泡状アルコール性手指消毒剤の殺菌効果,塗布面積及び使用感に関する検討
東 桃代中曽 亜佐美西野 さおり高開 登茂子先山 正二加藤 真介西岡 安彦
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 28 巻 6 号 p. 342-347

詳細
抄録
  世界的に,アルコール性手指消毒剤の必要性が医療現場で強調されている.これまで利用可能であった液状ならびにゲル状手指アルコール性手指消毒剤に加え2011年6月から泡状のアルコール性手指消毒剤(フォーム剤)の使用が国内で可能となった.フォーム剤は,液だれしにくいこと,また塗布範囲が可視化できることから塗り残しの改善効果が期待され注目されている剤形である.そこで今回,我々は従来から当院で使用されているゲル剤を対象とし,フォーム剤の殺菌効果,塗布面積及び使用感に関する検討を行った.殺菌効果は,パームスタンプ法を用いて「細菌数減少の値」また「菌数減少率(%)」を計測した.その結果,菌数減少率は,フォーム剤は65.7%,ゲル剤は59.8%であり殺菌効果は同等であった.また消毒面積の比較では,手背の塗り残し率は,フォーム剤では,0.6±0.79%,ゲル剤では3.2±2.28%(p<0.005)と,フォーム剤で有意に手背の塗り残し率が低かった.またアンケート調査の結果では,フォーム剤では,ゲル剤に比べて塗り広げやすく,また使用感も良いと感じた回答者が多い傾向にあった.今回の我々が行った検討から,医療従事者がフォーム剤を使用した際に,良好な塗布面積が得られ,使用感も良く手指衛生の向上に寄与する可能性を見いだすことが出来たので報告する.
著者関連情報
© 2013 一般社団法人 日本環境感染学会
前の記事 次の記事
feedback
Top