2015 年 30 巻 1 号 p. 29-32
先発医薬品と後発医薬品では添加物が異なるため,溶解性が異なる可能性が考えられる.そこで本研究ではコールター原理に基づいた自動細胞計数装置を用いて,バンコマイシン塩酸塩点滴静注用5製剤をそれぞれ生理食塩液に溶解し振とうした際の不溶性微粒子数を測定し,各製剤の溶解性を比較検討した.各振とう時間において5製剤の不溶性微粒子数には有意差が認められ,1製剤は先発医薬品よりいずれの時間においても有意に低値を示した.他の4製剤は振とう時間を長くすることで,有意に不溶性微粒子数は低値を示した.したがって,製剤毎の溶解性には差があり,溶解時間が異なることが確認された.バンコマイシン塩酸塩点滴静注用を適正に使用するには,溶解性の差を理解し,適切な溶解時間を現場の医療スタッフに周知徹底する必要がある.