抄録
透析療法を受ける患者のバスキュラーアクセスに使用される皮膚消毒剤の実態とその選択の関連要因を明らかにすることを目的とした.全国の透析施設3,827施設から無作為抽出した700施設の透析看護責任者に,無記名自記式質問紙を送付した.調査用紙の回収率は46.5%であり,323施設(有効回答率99.1%)を分析対象とした.
消毒用エタノールは自己血管動静脈瘻(38.1%),ポビドンヨードは人工血管動静脈瘻(74.8%),表在化動脈(72.1%),短期型カテーテル(72.0%),長期型カテーテル(65.8%)で,クロルヘキシジン含有エタノール製剤は長期型カテーテル(21.8%),短期型カテーテル(18.4%)で使用割合が高かった.少数ではあるが,自己血管動静脈瘻には弱酸性水や強酸性水,短期型カテーテルには生理食塩液(2.4%),長期型カテーテルには生理食塩液(3.0%)や水道水(0.9%)が使用されていた.5種類全てのバスキュラーアクセスにおいて,第一選択消毒剤の選択には「消毒剤の選択理由」が,短期・長期型カテーテルの第一選択消毒剤の選択には,CDCガイドラインの皮膚消毒剤に関する知識が統計学的有意に関連していた.今後は,バスキュラーアクセス毎に,適切な皮膚消毒剤の選択のためのエビデンスの構築が必要である.