日本環境感染学会誌
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感染防止の視点から捉えた陰部洗浄の実態—病院・介護福祉施設を対象とした大規模全国調査から—
土田 敏恵荻野 待子濵元 佳江
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2015 年 30 巻 2 号 p. 117-126

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抄録

  感染防止の視点からわが国で実施されている陰部洗浄の実態を明らかにし,病床機能による特徴について検討することを目的に,全国の医療施設と介護福祉施設計6,000施設に勤務する看護師・介護職者を対象に構成的質問紙調査を実施した.有効回答部数は1,930部(32.2%)で,病床機能別の回収率は,一般病床937部(48.5%),療養病床600部(31.1%),介護福祉施設393部(20.4%)であった.調査対象の70%の病棟または施設で,入院/入所者の5割以上がおむつを使用していた.実施状況は,対象者1名に対し2人が10分未満で陰部洗浄を実施しており,手袋は1~2双使用していたが,エプロンやマスクは34%が使用しないと回答した.手袋とエプロンの装着は対象者に触れる前であったが,手袋を除去するタイミングは便付着時が最多であるものの多様であった.病床機能別では,対象者1名あたりの陰部洗浄を介護福祉施設の75.8%が実施者1人で実施し,所要時間は61.3%が5分未満で,手袋の使用枚数は1双が69.7%,ディスポーザブルエプロンは62.6%が使用しないと回答した.手指衛生や陰部を洗浄する順序,周囲環境汚染防止策や感染症を疑う対象者への対策については,病床機能による違いはなかった.

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© 2015 一般社団法人 日本環境感染学会
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