2016 年 31 巻 2 号 p. 113-118
当院で2013年2月に,南館及び本館の2つの病棟でノロウイルス胃腸炎のアウトブレイクが起きた.発症患者16人,職員5人であった.アウトブレイクは複数病室で同時多発的に起きた.疫学調査から南館にノロウイルスが持ち込まれたのちに,本館へは車椅子用共同トイレの利用により感染が拡大したことが推定された.共同トイレを含む病室環境の清掃と消毒を徹底強化し,入院患者へ手指衛生指導を行うことによりアウトブレイクは速やかに収束した.ノロウイルス胃腸炎には,個人防護具着用,個室隔離,環境清掃と共に,次亜塩素酸ナトリウムによる共同トイレの消毒,排泄後の手指衛生がアウトブレイク発生防止に不可欠であると思われた.