日本環境感染学会誌
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北九州市東部地域における抗菌薬使用密度と耐性菌検出に関するサーベイランス
橋本 治宮崎 博章山口 征啓長南 謙一松本 哲朗
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2016 年 31 巻 4 号 p. 247-251

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抄録

 地域における耐性菌の拡散を防ぐためには,単一の医療機関だけでなく地域間で連携した取り組みが必要とされている.そこで北九州市東部地域にて抗菌薬使用量と薬剤耐性率との関係について調査を行い,その結果を感染防止対策地域連携加算施設1, 2の2群に分けて比較検討を行った.また,各施設における多剤耐性緑膿菌の検出件数の調査も行った.
 抗菌薬の使用密度(AUD)はカルバペネム系抗菌薬AUDを指標とした.カルバペネム系抗菌薬AUD及び緑膿菌耐性率は,2群間での統計学的な有意差は認めなかった.また,カルバペネム系抗菌薬AUDと緑膿菌感受性率の相関は見られなかった.今回の結果より,抗菌薬使用量以外の感染対策が耐性率に寄与している可能性が考えられる.また,多剤耐性緑膿菌が多くの施設に見られたことから,地域間での拡散防止に取り組んでいく必要があると思われる.

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© 2016 一般社団法人 日本環境感染学会
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