日本環境感染学会誌
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報告
気管チューブカフ上部吸引の有効性に関連する因子の検討
中澤 弘子土屋 守克高橋 誠一加藤 祐樹神谷 円吉村 将規
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2017 年 32 巻 1 号 p. 18-22

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抄録

近年,人工呼吸器関連肺炎(VAP)の予防策の一つとして,気管チューブに付属した専用のポートから吸引する,カフ上部吸引(subglottic secretion drainage:SSD)の有効性が示されている.本研究では,気管挿管,気管切開を行った患者56名を対象とし,カフ上部から吸引される分泌物の有無の関連因子を検討した.結果,気管切開チューブを使用している患者の方が,気管内チューブを使用している患者に比べ,約5倍カフ上部から分泌物が吸引されやすい傾向にあることが明らかとなった.その要因として,「チューブ挿入部周囲の組織の構造および位置」,「気管チューブの構造」の2点が推察された.今後は,カフ上部吸引回数やカフ上部吸引のタイミング,吸引量などの因子を加えて検討を行い,サイレントアスピレーションの予防に努める必要がある.

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© 2017 一般社団法人 日本環境感染学会
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