日本環境感染学会誌
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報告
小児病院での抗菌薬適正使用プログラムにおける感染症コンサルテーション制度の重要性
佐藤 公則横山 由香里石井 絹子徳武 正彦根本 翼小林 恵子張 慶哲南 希成笠井 正志
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2017 年 32 巻 3 号 p. 148-154

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抄録

抗菌薬使用に伴う薬剤耐性菌の蔓延は喫緊の社会問題である.抗菌薬適正使用プログラム(Antimicrobial Stewardship Program:ASP)の導入は,抗菌薬適正使用に一定の成果が期待されるものの,本邦小児病院における成果はまだ不明瞭である.当院では,感染制御室を設立した2005年より,ASPに取り組んできた一方で,成果がうまく出ず,医師の臨床判断への介入ができていないことがその原因と考えた.そこで,2012年4月より感染制御室スタッフによる感染症コンサルテーション制度を導入,その成果を,導入前後でPhase 1,Phase 2の2つに分け,院内の診療データベースを用い,後方視的に検討した.対象期間において,メロペネムのdays of therapy(対1000患者日数)はPhase 1で13.6,Phase 2で6.5と,有意に減少した(p=0.02).院内の臨床検体より分離された緑膿菌のメロペネムに対する感受性率も,それに伴い2013年度の79%を最低値として2015年度には88%まで改善した.一方で,両期間において,全死亡率,感染症が関与した可能性のある死亡率に変化はなかった.感染症コンサルテーション制度の導入により,本邦小児病院においても安全に広域抗菌薬の使用を減ずることができ,微生物の薬剤耐性改善のみならず,経済的にも利点が得られた.

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© 2017 一般社団法人 日本環境感染学会
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