日本環境感染学会誌
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報告
眼の曝露を防止するためのゴーグル導入への取り組み
上西 千絵池田 智絵新井 さゆり上西 崇弘
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2018 年 33 巻 4 号 p. 169-172

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抄録

医療従事者の血液・体液の飛散等による職業感染リスクを低減するために個人防護具の適切な使用が重要である.しかし手袋やマスクに比べ,看護師のゴーグル装着率は最も低いと言われている1,2)「JES2015エピネットB(皮膚粘膜曝露)結果報告」3)より,曝露報告者の占める職種は看護師が半数以上(60%)であり,曝露組織は眼が最も多く(67.2%)報告されている.そこで縦隔,心嚢および胸腔ドレーンの排液回収や創部処置,呼吸器装着患者への痰吸引処置により感染性物質が飛散する機会が多い循環器・心臓血管外科病棟においてスタッフがゴーグルを正しく使用できるよう勉強会を実施し,「医療現場における隔離予防策のためのCDCガイドライン2007の勧告」4)を基にゴーグル装着が必要な場面を抜粋し,作成したチェックリストによる毎月の自己評価と3カ月毎の他者評価を行った.ゴーグルの平均着用率は開始3カ月で39.6%,6ヵ月後には70.5%へ上昇した.今回の教育的介入後,看護師のゴーグル着用意識が向上し装着が習慣化された.現在は全病棟にゴーグルが導入されている.今後も眼粘膜曝露防止のため啓蒙活動を継続していく.

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© 2018 一般社団法人 日本環境感染学会
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