日本環境感染学会誌
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薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン 日本の戦略
大曲 貴夫
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2019 年 34 巻 1 号 p. 7-13

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抄録

薬剤耐性菌は世界的に大きな問題である.2011年の世界保健機関の年次総会にて,Antimicrobial resistance(AMR)が主たる議題として取り上げられた.以降,AMRを世界的な健康危機と認識して対策を打つための活動が展開されている.2015年5月の世界保健総会では,薬剤耐性(AMR)に関するグローバル・アクションプランが採択され,加盟各国は2年以内に薬剤耐性に関する国家行動計画を策定することを求められた.これを受けて日本においても政府により2016年4月に薬剤耐性(AMR)アクションプランが策定された.

本プランにより今後感染対策は大きく様変わりする.地域連携の枠組みは院内のみならず地域を大きく巻き込む地域ネットワークによって支えられていくようになる.感染対策に関するサーベイランスは地域もその範疇に入れてさらに充実が図られ,地域ネットワークで活用されるようになる.そして感染症の診療は更に質の向上が図られる.

アクションプランの実行により日本の医療現場における感染症対策は大きく変わる.AMR対策で築かれていく体制と対策は,病院だけではなく様々な医療の場における感染防止対策を対象とし,AMRだけを対象とするだけでなく様々な感染症の問題を対象とする形になる.これは未来に向けて持続可能な医療環境の構築に必ず大きく貢献するはずである.

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© 2019 一般社団法人 日本環境感染学会
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