個人の手指衛生行動に組織風土が影響することが指摘されている.本研究は,看護師の手指衛生に関する組織風土尺度を開発し,信頼性と妥当性を検討することを目的とした.
開発する組織風土尺度の内容妥当性を確保するために,既存尺度や手指衛生の組織文化介入研究等を参考に項目プールを作成した.感染管理の専門家8名で内容妥当性を検討し,看護師51名による予備調査を経て,2医療機関の外来および病棟看護師を対象に尺度開発のための質問紙調査を行った.
510名(45.1%)の回答を分析対象とした.項目分析後,探索的因子分析を行った.5側面34項目(物品配備環境4項目,所属部署環境6項目,上司環境8項目,病院の手指衛生活動環境7項目,病院環境9項目)からなる「看護師の手指衛生に関する組織風土尺度Ver.1.0」を開発した.尺度全体のクロンバックα係数は0.935であり,内的一貫性による信頼性を確認した.尺度の下位項目は,手指衛生行動に影響を与える組織風土として解釈可能な構成であることを確認した.確認的因子分析によるモデル適合度に統計学的な課題はなく,尺度には構成概念妥当性があると判断した.
本研究では「看護師の手指衛生に関する組織風土尺度Ver.1.0」を開発し,急性期病院の看護師の手指衛生行動に影響を与える組織風土を測定する可能性を示した.