2019 年 34 巻 5 号 p. 237-241
感染性心内膜炎(IE)は年間10万人あたり5~10人と低頻度な感染性疾患である.しかし発症すると高い致死率を有する重要な疾患であるため,心疾患を有する患者において歯科治療時のIE予防のための抗菌薬投与が1950年代から行われてきた.これら予防的抗菌薬投与の有効性のエビデンスが乏しいとして,1990年代の欧米のガイドラインではその部分的,全面的な見直しが行われた.一方で2017年に改訂された日本循環器学会のガイドラインでは,高度リスク患者,中等度リスク患者共に歯科治療時の抗菌薬予防投与が推奨された.本総説ではIE予防の為の抗菌薬予防投与の歴史とその有用性に関するエビデンスについて概説する.