2021 年 36 巻 1 号 p. 28-34
病院併設型の保育所(以下,院内保育所)では,保育所を利用する医療従事者が媒介となり,通所する園児と患者の間で感染症が伝播することが懸念される.本研究では,院内保育所に通所する園児と保育士へ衛生的介入を実施し,その効果を検討した.
院内保育所に通所する園児と保育士を対象に,手指衛生と咳エチケット教育,環境清掃の強化等からなる衛生的介入を実施した.介入前後の園児と保育士の手指衛生遵守率,および園児の感染症罹患率と感染による欠席割合を比較した.
対象者は,園児29名(同意取得率100%)と保育士22名(同意取得率92%)であった.園児の手指衛生遵守率は,介入前78.2%から介入後97.4%と有意に向上した(p<0.001).保育士の手指衛生遵守率は,介入前37.6%から介入後78.2%と有意に向上した(p<0.001).一方,園児の感染症罹患率は介入前11.47/1,000人日,介入後11.31/1,000人日で,相対危険とその95%信頼区間は0.99(0.53-1.83)であった.感染症での欠席割合は,介入前2.17%,介入後2.75%で,相対危険とその95%信頼区間は1.26(0.24-6.68)であった.
本研究で実施した院内保育所における衛生的介入は,園児と保育士の手指衛生遵守率を改善させたが,園児の感染症罹患率と欠席割合は変化させなかった.