2021 年 36 巻 2 号 p. 117-122
抗菌薬適正使用支援として,「抗菌薬の事前承認制」と「介入とフィードバック」が推奨されている.本邦における薬剤師による「介入とフィードバック」として全静注抗菌薬を対象に行った報告は大規模病院からのものはあるが,中規模病院からの報告はない.本研究では,中規模病院における全静注抗菌薬処方後監査を実施することによる全静注抗菌薬の変化を調査した.全静注抗菌薬は,1000患者あたりの抗菌薬投与日数(DOT/1000pd)が248.6日から217.1日へ(12.7%)減少した(p<0.05).さらに,抗緑膿菌活性がある抗菌薬は,DOT/1000pdが60.0日から35.5日へ(40.8%)減少した(p<0.01).1000患者あたりの全抗菌薬にかかる費用は約5万円(18.4%)減少した(p<0.05).中規模病院において薬剤師による全静注抗菌薬処方後監査は,広域抗菌薬を中心とした抗菌薬の減少をもたらした.