日本環境感染学会誌
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パルスドキセノン紫外線とオゾン・過酸化水素による殺菌効果の比較検討
小林 里沙田平 優子猿渡 嘉子森 日登美清祐 麻紀子下野 信行
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2024 年 39 巻 1 号 p. 15-19

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抄録

【背景】感染拡大の原因として汚染した医療環境がリザーバーとなる場合が考えられ,定期的に清掃および消毒を実施する必要がある.最近,室内殺菌装置による環境消毒が注目されてきている.今回,パルスドキセノン紫外線照射装置(Pulsed Xenon Ultravioret:PX-UV)とオゾン・過酸化水素室内殺菌装置(オゾン・H2O2)の2種類の室内殺菌装置の殺菌効果の比較検討を行った.

【方法】医療環境で問題となる7種類の芽胞菌や多剤耐性菌を含む病原微生物を接種濃度104~108 CFU/mLに調整した菌液をミューラーヒントン(MH)培地に10 uL接種した.接種培地を平面から45°に傾け,PX-UVで5分照射と10分照射を行った.また,オゾン・H2O2での環境殺菌を実施した.PX-UVとオゾン・H2O2で殺菌した接種培地を培養し,菌の発育状態を5段階で判定した.

【結果】PX-UV 5分間の照射では,Bacillus cereusCandida parapsilosisにおいて,菌の発育を認めた.PX-UV 10分間の照射では,B. cereusで少数の菌の発育を認めた.オゾン・H2O2では全ての菌種において菌は検出されなかった.

【結論】PX-UVにおいて,芽胞菌とカンジタ属が残存しやすい傾向にあった.

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© 2024 一般社団法人 日本環境感染学会
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