日本環境感染学会誌
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ワルファリン服用患者における抗菌薬投与中のPT-INR上昇要因の解析
武田 龍馬山田 和範星 貴薫
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キーワード: ワルファリン, PT-INR, 抗菌薬
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2024 年 39 巻 2 号 p. 53-57

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抄録

ワルファリン服用患者の抗菌薬治療中にプロトロンビン時間国際標準比(prothrombin time-international normalized ratio:PT-INR)が上昇することは少なくない.PT-INRを上昇させやすい抗菌薬として,広域スペクトルの薬剤やN-メチルチオテトラゾール側鎖を有する薬剤などがある.本研究では抗菌薬の種類や抗菌薬投与中の患者背景がPT-INRの変動に及ぼす影響について後方視的に検討した.対象は2013年から2017年までにワルファリン服用中に抗菌薬が投与された患者で,PT-INR上昇群33名,PT-INR非上昇群35名とした.単変量解析によるPT-INR上昇要因の探索では,欠食,肺炎,抗菌薬使用総数の項目において有意差を認め(p<0.05),抗菌薬の種類で有意差を認めなかった.多変量解析においてもPT-INR上昇因子は同様な結果が得られ,そのオッズ比(95%信頼区間)はそれぞれ,欠食5.33(1.47-19.30),肺炎4.17(1.28-13.60),抗菌薬使用総数3.53(1.32-9.43)であった.これら結果より,特定の種類の抗菌薬がPT-INR上昇要因となるわけではなく,複数の要因が抗菌薬投与中のPT-INR上昇に関与している可能性が考えられた.

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© 2024 一般社団法人 日本環境感染学会
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