日本環境感染学会誌
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報告
結核症の治療効果判定に影響し水道水の使用回避により対処可能となったMycobacterium gordonae疑似アウトブレイク事例
岩間 暁子加地 大樹堀井 俊男漆原 崇司
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2024 年 39 巻 5 号 p. 204-208

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抄録

結核患者の「退院させてもよい基準」には治療開始後の塗抹検査陰性化が含まれるが,非結核性抗酸菌(NTM)の混入により結核症の治療効果判定に影響しうる.2020年,肺結核で入院中の患者の治療効果判定目的の喀痰塗抹検査が臨床的な治療効果と乖離し持続的に陽性となり,退院基準の判断に苦慮した例を経験した.培養検査でMycobacterium gordonaeが検出されNTMが混入した可能性が考えられたため,院内感染対策チームが入院歴のあるM. gordonaeが検出された12名について調査をした.12名のうち塗抹陽性が9名(75.0%)おり,うち6名(66.7%)に水道水を使用した口腔ケアが実施されていた.水回りの環境から混入した可能性を疑い環境培養を実施すると,病室内の水道水からM. gordonaeが検出された.そのため水道の蛇口泡沫キャップを交換し,口腔ケア時の水道水使用禁止に加え患者に歯磨きや飲用水用にペットボトルの水を供給することとした.M. gordonaeは2021年12件,2022年6件と減少し,M. gordonaeの疑似アウトブレイクが示唆され,病院内のNTM混入対策として水道水の使用回避が有用であると考えられた.

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