2025 年 40 巻 2 号 p. 46-52
A病院に勤務する看護職員の手荒れの有訴率と関連因子を調査することを目的とする質問紙調査を行った.対象は,外来または入院病棟に勤務する看護職員とし,看護管理者は除外した.質問紙には,手洗いやハンドクリームの使用など手荒れに影響すると考えられる因子に関する質問を含めた.看護職員における手荒れ保有の危険因子を明らかにするためにオッズ比および95%信頼区間を使用した.加えて,手荒れあり群となし群との間でハンドクリームの使用状況を比較した.合計371人の参加者を分析し,手荒れの有訴率は27.0%であった.ロジスティック回帰分析の結果,経験年数15年未満の看護職員およびアトピー性皮膚炎において手荒れの保有リスクが有意に高かった.アルコールアレルギーの保有および1日40回以上の手指衛生におけるオッズ比が高かったが,いずれも有意差はなかった.手荒れあり群の71%がハンドクリームを使用していたが,その使用は職場よりも家庭で多かった.手荒れは依然として病院の看護職員に多くみられる症状であり,手荒れの予防対策を行う必要がある.皮膚科受診やハンドクリームの使用を奨励することが,A病院で働く看護師の手荒れのリスクを軽減できる可能性があると考えた.