日本環境感染学会誌
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感染予防実践者に求められるコンピテンシー:リーダーシップと変革型リーダーシップの関連
府川 真理子操 華子
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2025 年 40 巻 2 号 p. 53-57

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抄録

本研究の目的は,日本の感染予防実践者のコンピテンシー第IV領域「マネジメントとコミュニケーション(以下,リーダーシップ)」と「変革型リーダーシップ(Transformational Leadership;以下,TFL」との関連を検討することである.公益社団法人日本看護協会で認定登録され,かつ,一般社団法人日本感染管理ネットワークの関東支部に所属する感染予防実践者438名を対象に,無記名自記式Webアンケート調査を実施した.感染予防実践者の経験年数の平均値(SD)は14.5(5.1)年であり,研究対象者の40名(72.2%)が看護師長職以上の管理的役割を担っていた.リーダーシップ得点の平均値(SD)は3.71(0.56)であった.TFL得点の平均値(SD)は2.39(0.47)で,平均値(SD)が一番高かったのは,個別的な配慮2.66(0.56)であった.リーダーシップ得点合計とTFL得点合計との相関を検討した結果,中程度の相関が認められた(r=0.471,p < .001).新興・再興感染症の発生が続く今日では,変革型リーダーシップ行動の実践は,感染予防実践者が獲得しておくべきコンピテンシーの一つだと考える.本研究は感染予防実践者のコンピテンシー「リーダーシップ」の併存妥当性についての検討の第1歩である.

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