2026 年 41 巻 2 号 p. 96-103
抗微生物薬に関連する医療事故・ヒヤリハットが処方・調剤・与薬などの場面で発生しているが,その要因分析は十分ではない.本研究は,全国の病院で発生した抗微生物薬に関連する医療事故・ヒヤリハットの発生要因の特徴や職種による違いを明らかにすることを目的とした.
対象は公益社団法人日本医療機能評価機構が公開する2018年10月~2023年9月の医療事故・ヒヤリハット事例とし,内容や原因薬などを調査した.それらの要因について職種間に違いがあるかをカイ2乗検定またはFisher-Freeman-Haltonの正確確率検定で解析した.
対象とする医療事故事例は250件,ヒヤリハット事例は2330件であった.医療事故の医師・歯科医師の内容で最も割合が高かったのはアレルギー・アナフィラキシーで23%(32/141),看護師では禁忌薬剤の処方・投与12%(12/99)であった.医療事故に対する治療の程度では職種間で差がみられ,当事者が医師・歯科医師の場合は濃厚な治療を要した割合が41%(58/141)と他職種に比べて高かった.
本研究により全国の病院で発生する抗微生物薬に関連する医療事故・ヒヤリハットの発生要因と特徴が明らかとなった.職種による医療事故・ヒヤリハットの発生要因の違いを認識し,対策や連携を行うことで医療事故・ヒヤリハットの未然回避・再発防止につながると考えられる.