環境感染
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市中病院における創感染サーベイランスのこころみ
感染管理看護婦の活動を中心にして
遠藤 和郎
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1996 年 11 巻 2 号 p. 141-146

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抄録

専属の感染管理担当者がいない市中病院において, 感染管理看護婦を中心に創感染サーベイランスを行ったので, その方法を中心に報告する. 1995年1月から10月までに当院で行われた総手術 (2696件) のうち, 創感染が機能, 生命予後に重大な影響を与える心臓血管外科手術 (82件) を対象とした.
特に留意した点として, 1) 創感染の診断は明快で広く使われている米国防疫センターの診断基準を採用.2) 患者の内因性危険因子の標準化と数値化.3) 継続性.4) 手間, 時間そして費用の軽減.5) 診断精度の向上.6) 電算化による集計業務の簡略化.7) 患者の危険因子を考慮した報告様式.
自製のコンピュータシステムとサーベイランス用紙を用い, 各病棟に配置された感染管理看護婦が連携を取りながらサーベイランスを行った. サーベイランスに費やす時間は一件あたり数分で, 日常業務内での継続が可能であった. また電算化によりデータの集計が簡略化し, 定期的な報告が可能となった. 感染管理看護婦による診断の精度は継続的な教育により向上した.
サーベイランスを継続的に行い創感染対策に反映させるためには, 外科医, 麻酔科医の協力, コンピュータの導入, 感染管理担当者の教育と熱意が不可欠であった.

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