環境感染
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新生児レジオネラ肺炎
特にその感染源について
藪内 英子
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1996 年 11 巻 2 号 p. 156-159

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抄録

1996年7月5日までに検索し得た新生児レジオネラ肺炎はアメリカとドイツ各2例, 日本とフランス各1例の計6症例で, 男児5例, 女児1例であり, そのうち男児3例は治癒し他は死亡した.日齢10で死亡した日本の1例以外は何等かの易感染状態にあった.患児から検出された菌はすべてLegionella pneumophilaで血清群 (SG) 1株単独が4例, SG6株単独が1例, SG1と8の合併が1例であった.日本以外の5症例が出生した病院では主として給湯系から患者由来株と同じ菌株が検出されている.自力で行動しない新生児が出生後の退院直前または直後に発症すれば, 単発症例でも病院内感染と考えられる.レジオネラ肺炎の細菌的診断は一般には他の細菌感染症の場合よりも時間がかかる.臨床症状, 一般グラム陰性桿菌肺炎に対する治療剤の無効, 細菌培養陰性などを勘案し, 主治医を始めとする医療関係者がこの疾患を想定するか否かが患者の生死を分けたり, 集団感染の規模を規定することを銘記しなければならない.新生児期以後の人口と新生児数とを比較した時, 新生児レジオネラ肺炎を稀な疾患と言えるだろうか.

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