環境感染
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酸性電解水の殺菌効果と使用法の検討
岩沢 篤郎中村 良子
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1996 年 11 巻 3 号 p. 193-202

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抄録

酸性電解水はpH3以下の強酸性電解水と, pH5~6の弱酸性電解水がある. この違いを殺菌効果と物性値 (pH, 酸化還元電位, 塩素・オゾン量) から比較し, 主にモップ・噴霧器使用時の適否を検討した.
1. 強酸性電解水生成器2機種, 弱酸性電解水生成器1機種より生成される酸性電解水は, 殺菌効果に差が認められなかった.
2. 酸性電解水の機種により, pH, 酸化還元電位, 塩素・オゾン量に差が認められ, 同一機種であっても採水日により差が認められた.
3. 強酸性電解水は低温で空気層のない容器での保存が適していた. 弱酸性電解水は温度による違いのみが認められた.
4. モップおよび噴霧器の使用には弱酸性電解水が塩素・オゾン量の減少が少なく適していた.
5. 酸性電解水による消毒の際には適切な不織布を使用する必要があることが判明した.
以上, 酸性電解水はモップ・噴霧器などを用いて環境清掃に使用する場合には弱酸性電解水を, 手洗いなどの使用目的としては強酸性電解水が適していると考えられた. 今後, 含有する酸素の解析, 酸性電解水実用化のための各種機器, 用具の開発が望まれた.

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