環境感染
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日韓の2大学病院における看護婦の院内感染防止対策実践状況
浦田 秀子田代 隆良松本 麻里志水 友加福山 由美子金 鳳壬梁 炳善
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2000 年 15 巻 4 号 p. 338-344

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抄録

日本と韓国の2大学病院においてメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 感染または定着患者に対する看護婦 (士) の感染防止対策実践状況を自記式質問紙を用いて調査した. 対象は日本のN大学病院と韓国のK大学病院の看護婦 (士) で, 調査項目は標準予防策の基本である手洗い (頻度, 方法, 時間) と手袋・マスク・ガウンの着用状況である. ケア前の手洗い実施頻度は両大学病院で有意差はなかったが, ケア別にみると食事介助, バイタルサイン測定, 点滴交換の3項目でN大学病院が有意に高かった (p<0.01). ケア後の手洗い実施頻度はN大学病院が高く, 9項目すべてのケアで有意差が認められた (P<0.01). 手袋の着用はK大学病院が高く, 清拭, 体位変換, 包帯交換, 食事介助で有意差が認められた. マスクおよびガウンの着用はN大学病院が高く, 9項目すべてのケアで有意差が認められた (p<0.01).
N大学病院ではMRSA感染患者は原則として個室隔離しているが, K大学病院では隔離していないことが感染防止対策実践状況の違いに関与しているものと思われる. しかし, 標準予防策はMRSA感染患者を隔離する・しないにかかわらず, 遵守すべきであり, N大学病院では患者との接触が濃厚なケアでの手袋の着用, K大学病院では手袋をはずした後の手洗いとマスク・ガウンの着用をより徹底する必要があると思われる.

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© 日本環境感染学会
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