抄録
病院感染看護管理の課題には,(1) 感染症のケアを充実させ重症化を防ぐ,(2) 病院感染の発生および拡大を防止する2つの課題がある. 病院感染症として, 尿路感染症, 呼吸器感染症, 菌血症の3つが知られているが, 発熱や白血球増多を伴うことがほとんどであり, 体温測定や検査結果の観察が必要である.
病院感染対策は, 宿主の免疫力増強, 病原体の死滅・消失, 感染経路の遮断が基本であり, 特に看護職員に求められているのは感染経路の遮断である. 1996年にアメリカCDCが示した疾患や, 感染の有無に関わらずすべての患者に標準予防策で対応し, さらに病原体の感染経路別予防策で対応するという2段階の方法は広く参考にされている. 感染経路遮断の基本となるのは手洗いであり, 場面に応じて手袋やマスクなどを使用する.
患者に最も接している看護職員は, 感染を拡大させる立場と感染防止の担い手という両面の立場にある. その分かれ目は, 病院感染に対する関心度にほかならない.