環境感染
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臨床使用後の医療器具および臨床分離株に対する過酢酸製剤の殺菌効果
西 功浅利 誠志豊川 真弘堀川 晶行西村 信哉
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2002 年 17 巻 4 号 p. 325-328

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抄録
医療器具の化学的滅菌・殺菌消毒剤として新たに開発された過酢酸製剤について, 臨床使用後の医療器具を用いグルタラール製剤との殺菌効果比較と, 臨床分離株および標準株に対する殺菌効果の検討を行った.
臨床使用後の医療器具を用いた検討成績では, 60分間浸漬させたグルタラール製剤に僅かに及ばないが, 過酢酸製剤は5分間の短時間浸漬で良好な殺菌効果を示した. また, 臨床分離株および標準株を対象とした検討において過酢酸製剤は, S.aureus, P. aeruginosa, Candida sppおよび非定型抗酸菌の計46株中41株を1分以内に殺菌し, さらに, 芽胞を有するBacillus spp. を含む全57株を5分以内に殺菌した.
今回の検討において過酢酸製剤は一般細菌, 非定型抗酸菌および有芽胞菌に対して優れた短時間殺菌能と低刺激性が確認されたことより, 臨床現場の多くの医療器具・機材の短時間消毒剤として極めて有効であることが示唆された.
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