環境感染
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術後感染予防における抗菌薬使用状況調査
当院でのクリティカルパス運用の効果
入江 英治
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2005 年 20 巻 1 号 p. 19-23

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抄録

2000年4月から2003年4月までの3年間で, 調査期間に設定した各時期に熊本中央病院外科病棟で外科手術を受けた合計557例を対象に, 術後感染予防のための抗菌薬使用状況について, 2000年8月の感染予防のための抗菌薬投与基準導入前後で比較調査した.
(1) 清潔手術施行例ではいずれの調査時期でも, 90%以上の症例に対してセファゾリン (CEZ) が使用されており, 抗菌薬投与基準導入後の薬剤費は導入前の約1/3であった.
(2) 準清潔手術では平均在院日数, 平均投与日数, 平均投与本数のいずれも投与基準導入による影響は大きぐなかった. しかし, 投与基準導入後はCEZが60%以上の症例に使用されており, 薬剤費の減少傾向が確認された.
(3) 抗菌薬投与基準導入前後で, 手術部位感染発生頻度に大きな差はなかった.
以上の結果より, 清潔手術や準清潔手術施行例では薬剤費が安価なCEZ使用を基本とし, 患者状況などを見ながら, 適切な抗菌薬を選択すべきであると考える.

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