環境感染
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多施設共同研究によるICUの施設特性と院内感染の関係
須賀 万智吉田 勝美武澤 純
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2005 年 20 巻 1 号 p. 24-30

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抄録
2001年1月~12月, 厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業 (JANIS) に参加した25施設を対象にして, ICU入室患者の院内感染に関連する施設要因を検討した。郵送法による質問紙調査から各施設の施設要因 (施設の属性, スタッフ, ケアプロセス, 感染制御, リスクマネージメント) の情報を収集した. 一方, 院内感染サーベイランスから各施設のICU入室患者の情報を収集した. 外部要因依存性が大きいと考えられるAPACHEスコア0-10群の院内感染の罹患率 (感染率) に注目して, 各施設のAPACHEスコア0-10群の区間感染率 (工CU入室後7日未満とICU入室後7日以上) の傾向から, 増加した11施設 (増加群) と減少した14施設 (減少群) の施設要因の分布を比較した.
増加群と減少群のp<0.2の差を認めた項目は救命救急センター (あり), 夜間の研修医 (あり), 定時回診 (日に1回以下), カンファレンス (月に4回以下), 血液浄化管理指針 (なし), 抗菌薬予防投与の取り決め (なし), はさみの個別化 (なし), 酸素センサーの個別化 (なし), ガーゼ交換時手袋着用 (なし) であった.これら要因は, 施設数を2倍の50に仮定した場合, p<0.05の有意差が認められた.
ICU入室患者の院内感染のリスクは救命救急センターがある施設, 夜間の研修医がいる施設において大きく, 定時回診やカンファレンスの開催, 血液浄化管理指針や抗菌薬予防投与の取り決め, 使用機材の個別化, ガーゼ交換時手袋着用により軽減される可能性が示唆された.
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© 日本環境感染学会
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