抄録
宮城県における感染対策地域ネットワークに関する調査を行い, その結果を解析した. 集計結果では58.5%の施設が院内感染に関する情報は十分ではないと回答し, 61.5%の医療施設が市中感染症について, 68.9%の医療施設が感染対策について, 相談・コンサルテーション体制の構築を希望していた. また, 81.5%の医療施設で院内感染対策に関する意識の向上が見られるものの, 実際には68.9%の医療施設において感染対策マニュアルの理解は不十分と回答していた. 地域ネットワークについては医療施設・地域における教育・啓発での連携, ICD・ICN (医療現場) での連携, 薬剤部門・微生物検査部門での連携などにおける様々な要望がみられた.
地域ネットワークに参加している病院では, ICTが組織され, より実質的な活動がおこなわれていた. 院内感染に関する院内・院外講習会も定期的に行われており, 外来トリアージやワクチン接種を始めとする職業感染対策なども進んでいた.
我が国における地域感染対策ネットワークはまだ緒に就いたばかりではあるが, 多くの施設が様々な連携を必要とし, また強く要望していた. 感染対策地域ネットワークの活動は, 着実に感染対策のレベルアップに貢献していることが示唆された.