環境感染
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医師の卒後臨床研修開始時における感染制御教育の試み
増田 道明藤澤 隆一山本 勝彦奥住 捷子
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2005 年 20 巻 3 号 p. 193-199

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抄録

コア・カリキュラムの導入や診療参加型臨床実習の重視, 臨床研修の必修化など, 卒前・卒後の医学教育は変革期にある. かかる状況にあって, 医学生や研修医に対する感染制御教育は重要な課題である. 本研究は, 医師の卒後臨床研修開始時における導入的感染制御教育の実践的フォーマット作りを目的としている.臨床研修開始直後の研修医39名を対象とし, まず10項目の設問から成るプレアンケートにより, 感染制御に関する知識や実践能力の自己評価を実施した. その後, 感染予防策や院内感染対策マニュアルの解説, 手洗い・手指消毒, ガウンテクニック, N95マスク着用法等に関する実習, 感染症法の改正内容等に関する講義を行った. 3日後, 実習結果の判定および講評を行い, プレアンケートと同じ設問のポストアンケートにより再度自己評価を行った. さらに, 9ヵ月後にも同じアンケートにより, 長期効果の判定を行った. 今回の方法は, プレとポストのアンケート結果比較において自己評価の有意の上昇も認められ, 導入的感染制御教育の原型フォーマットとして供しうると考えられた. 講習全体を通じて, 研修医の反応も良好であり, 感染制御に対する関心も喚起できたと思われる. また, 9ヵ月後のアンケートから効果の持続も認められた. 今後, 指導法や指導効果の判定法の改良に向けて, さらに検討していきたい.

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