環境感染
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ディスポーサブル医療材料キットによる経済的効果
大石 毅高橋 一郎尾形 享一萱室 昌子飯島 昌美野口 美恵子
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2005 年 20 巻 4 号 p. 268-271

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抄録

滅菌医療材料をディスポーサブル化, キット化することは, 医療現場において器材の再利用にかかる時間の短縮と, 患者毎に無菌保障された材料を提供できるメリットがある. しかし, 積極的な導入には購入コストが障壁となり実現しにくい. 今回, 我々はリユース製品を全面的に見直すとともに, ディスポーサブル製品への積極的な転換を実践し, 経済的効果が得られるかを検討した. まず, 2001年4月から2002年3月までの院内で再利用された手術部外の医療材料を調査した. 部門別構成比で60%は外科病棟が占めており, 材料別内訳の構成比率では, 構成比率90%を占める材料のうちガーゼカスト, 錨子立て, 万能つぼなどに収納した滅菌セット (以下, バルク滅菌品) が多く含まれていた. そこで外科病棟におけるセット滅菌品を廃止し, 独自のキットに転換した. キット導入前の外注滅菌費用, 材料費, 修理補充費用の月平均が55万円であったのに対し, キット導入後は53万円とほぼ同等であったため, 2003年10月よりキット化を全病院に拡大した. これにより年間支出は2931万円から2617万円へと削減された. 滅菌材料の品目数も約17万点から14万8千点へ12.5%の減少効果があり, 院内における物流量の減少にも繋がった. 綿密な計画の下に滅菌医療材料のディスポーサブル化, キット化を行うことで業務効率向上とコスト削減の両立が可能であった.

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© 日本環境感染学会
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