環境感染
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麻疹・水痘・風疹・ムンプスに対する病院感染対策
真砂 州宏三島 真美
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2006 年 21 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

鹿児島県隼人町立医師会医療センターにおいて, 病院感染対策の一環として, 職員および委託職員の麻疹, 水痘, 風疹, ムンプスの抗体検査を実施した. 各疾患の抗体陰性率は麻疹16.8%, 水痘4.4%, 風疹14.6%, ムンプス13.3%であった. 水痘以外は抗体陰性率が10%を超えており, 病院職員間で集団感染する可能性が示唆された. 抗体陰性者にはワクチンの接種を実施し, 抗体獲得の確認を行った. 抗体獲得率は麻疹100%, 水痘76.9%, 風疹68.3%, ムンプス92.1%であった. さらに抗体が獲得されなかった職員に対しては, ワクチンの追加接種を行い, 抗体獲得の確認を行った. 2回目の接種での抗体獲得率は水痘100%, 風疹60%, ムンプス100%であった.
麻疹, 水痘, 風疹, ムンプスはワクチンにより予防し得る疾患であり, 病院職員はこれらの疾患に対する抗体を保有していなければならない. しかし, vaccine failureの可能性もあるため, ワクチン接種のみでは病院感染対策としては不十分であり, 抗体獲得の確認までする必要があると考えられた.

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