環境感染
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Clostridium difficile腸炎再発の要因
継田 雅美今井 由美子吉川 博子
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キーワード: バンコマイシン, 再発
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2006 年 21 巻 1 号 p. 12-16

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抄録

当院の一病棟においてClostyidium difficileによる下痢症を発症した患者が約1ヵ月半の間に9例にのぼり, アウトブレイクと思われた.感染制御室では病棟に介入し, 接触感染対策の徹底とC. difficileによる院内感染の注意を喚起し, 院内にも臨時のICTニュースを発行し啓蒙した. その結果アウトブレイクは収束したが経過中再発例があったこともあり, 病棟内の接触感染対策だけでなく治療薬のバンコマイシン (以下VCM) 散の使用法にも問題がある可能性を考え, 全病棟を対象に患者因子, 発症前抗菌薬の有無, VCM散の投与法について調査した.平成12年1月から平成16年5月までにC. difficile腸炎でVCM散が投与された患者は159例で再発は24例・35事例 (複数回再発あり) であった. 再発例の平均年齢は82歳で, 基礎疾患は悪性腫瘍, 糖尿病など易感染性疾患が多かった.再発35事例中抗菌剤の投与がされていたのは16事例であり, VCM散投与日数10日未満での再発は24事例であった. 腸炎再発の原因は抗菌薬再投与, 接触感染が大きな要因ではあるが, 初回発症時のVCM散の10日以上の投与が重要であると考えられた.

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© 日本環境感染学会
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