環境感染
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閉鎖式三方活栓を用いた細菌汚染改善の試み
宮原 聡子吉田 麻美原田 幹子安宅 一晃光野 典子奥山 道子
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キーワード: 閉塞式回路, 三方活栓, 死腔
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2006 年 21 巻 1 号 p. 34-38

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抄録
中心静脈カテーテル留置に伴うカテーテル関連敗血症 (Catheter related blood stream infection, CRBSI) の重要な原因の一つに三方活栓がある. 今回, 現在使用している保護栓つきの三方活栓 (以下非閉鎖式とする) を, アーガイルセイフアクセスシステムセイフTポート (以下閉鎖式とする) に変更する事により細菌汚染の改善がみられるかを検討した. 当院集中治療室に入室した患者で, 中心静脈カテーテル留置開始後トリプルルーメンカテーテルを使用した症例のうち, 三方活栓を使用してから72時間以上経過した88症例436個の三方活栓を対象とした.
非閉鎖式39症例169個, 閉鎖式 (死腔あり) 20症例123個ならびに閉鎖式 (死腔なし) 29症例144個の三方活栓について細菌培養を行い, 細菌汚染の陽性率, 検出菌の比較を行った.
三方活栓全体における細菌汚染度は, 非閉鎖式11.8%の陽性率であったのに対し, 閉鎖式は0.7%と有意に低下した. 閉鎖式で陽性率が低かつた要因として, 外部への開放状態をなくすことにより細菌侵入を防ぐことや, 非閉鎖式に存在するサイドリブの死腔をなくすことで, 菌の増殖を低下させることなどが考えられる. しかし, 閉鎖式を用いても0.7%の陽性率が認められる事から, 閉鎖式を用いるのみでは感染を防ぐ事はできず, 手洗いの励行を初めとする標準的な予防策の徹底や環境整備のあり方, 三方活栓の消毒方法にも目を向ける必要がある.
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© 日本環境感染学会
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