環境感染
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閉鎖式輸液回路とマキシマルバリアプレコーションの中心静脈カテーテル関連血流感染低減効果
吉本 静雄山平 真弓岡内 里美鉦谷 久美子
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2006 年 21 巻 1 号 p. 39-44

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抄録

2000年5月~2005年3月の一般病棟における中心静脈カテーテル関連血流感染 (CRBSI) サーベイランスを閉鎖式輸液回路とマキシマルバリアプレコーション (MBP) の有無により3期間 (非閉鎖式回路期, 閉鎖式回路期, 閉鎖式回路+MBP期) に分け, 各期間のCRBSI感染率の統計学的有意差検定を中心静脈カテーテル (CVC) の留置期間別, 留置部位別にカイ2乗検定を用いて行った. その結果, 非閉鎖式回路期と閉鎖式回路期の感染率は全留置例, 14日未満全留置例, 鎖骨下全留置例, 14日以上鎖骨下留置例, そけい部全留置例では有意差を認めなかったが, 14日以上全留置例 (p=0.040) と14日以上そけい部留置例 (p=0.020) において有意差を認めた.閉鎖式回路期と閉鎖式回路+MBP期の感染率は鎖骨下留置例 (全, 14日以上, 14日未満), 14日以上全留置例, 14日以上そけい部留置例では有意差を認めなかったが, 全留置例 (p=0.007), 14日未満の全留置例 (p=0.024), そけい部全留置例 (p=0.002), 14日未満そけい部留置例 (p=0.027) において有意差を認めた. すなわち, 閉鎖式輸液回路は14日以上長期留置例においてCRBSI感染率を有意に軽減し, MBPは14日未満の短期留置例のCRBSI感染率を有意に軽減した. また, 鎖骨下, そけい部, 頸部の留置部位別検討では, 対策期別, 留置期間別の3留置部位間感染率に有意差は全く認めず, 特に閉鎖式回路+MBP期では鎖骨下とそけい部留置例の感染率にほとんど差は認められなかった.

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© 日本環境感染学会
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