2006 年 21 巻 1 号 p. 51-55
新人看護師の擦式手指消毒のコンプライアンスを高めるために新人看護師61名を対象に, 就職前擦式手指消毒教育を受けた者 (介入群) 3 9名と, 受けなかった者 (非介入群) 22名について, 手指付着菌の減菌率評価と, 看護場面における擦式手指消毒の実施状況を検討した.擦式手指消毒薬の使用後の減菌率は, 手掌, 栂指, 手関節とも介入群の方が高く, 手掌においては有意差を認めた (p<0.05). これは介入群が非介入群に比べ適切な擦式手指消毒を実施しており, 就職前の擦式手指消毒教育の効果があったと考えた. 看護場面における擦式手指消毒の平均実施率は, 介入群が非介入群より有意に高率であった. 中でも, 創傷処置, 静脈血の採血, など侵襲的処置をともなう診療の補助場面における擦式手指消毒の実施率が高かった. このことは, 擦式手指消毒教育を受けた新人看護師の方が, 教育を受けなかった新人看護師よりも, 擦式手指消毒の除菌効果が高いことを理解していたこととも関係していた.