環境感染
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乳児病棟の特性を考慮したスタンダードプリコーションの徹底と病原体別感染対策
井上 久子石崎 京子山根 園子瀬戸 美奈子樋口 昌孝新庄 正宜高野 八百子中村 くに子
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2006 年 21 巻 2 号 p. 120-125

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抄録
当院小児科乳児室は18床の多床室で, ほとんどの患児が易感染状態である. 2001年から3年間のデータを分析し具体的な対策として, 乳児室の特徴を考慮したスタンダードプリコーションの実行と病原体の特性を考慮した感染予防対策の2つの視点で取り組んだ結果, 感染予防に効果的であった. 視点1. 乳児病棟の特性を考慮したスタンダードプリコーションの徹底: 医療従事者に対し, 手指衛生や一患者毎のガウンテクニックを徹底した. 又手技の統一のため, ガウンの着脱方法, オムツ交換手技のマニュアルを作成した. 面会者に対し, 感染予防マニュアルを作成し統一した指導を行った. 結果, 手指衛生の回数の増加や確実なオムツ交換・ガウンテクニックが徹底された. 視点2. 病原体の特性を考慮した対策: RSウイルス・ロタウイルスに関しては, 感染兆候の早期発見, ウイルス抗原検出前の早期対応を徹底, 感染同時発生がなくなり, 感染者数は減少した. 無症状の保菌者に関する感染対策が中心となるESBL (extended spectrum βlactamase) 産生の病原性大腸菌O25について, パーティション隔離, 専用出入り口の設置, 医1師・看護師の専属チーム化を実施した. 結果新規陽性患者は減少した. 他の感染症への対策が徹底された結果, MRSAの新規陽性患者は減少した. 感染管理サイクルに基づいて実践し, 病棟だけでなく病院全体で取り組んだ事が有効であったと考える.
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© 日本環境感染学会
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