環境感染
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2004/05シーズンにおける大学病院看護師を対象にしたインフルエンザ感染のコホート調査
寺田 喜平平田 早苗丸橋 民子角田 美代子東田 志乃千田 美智子
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2006 年 21 巻 2 号 p. 87-90

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抄録

看護師におけるインフルエンザの感染経路や予防接種の有効性, 経年連続接種の効果を実証するために, 2004/05年シーズンの大学附属病院におけるインフルエンザ感染のコホート調査を実施した. 看護師539名を対象に, ワクチン接種者は492名, 未接種者は44名, 接種率は91.8%であった. インフルエンザ診断キットによる確定罹患者は32名あったが, そのうちワクチン接種者の罹患率は6.1% (30/492名), 未接種者での罹患率は4.5% (2/44名) であった.罹患者25% (8/32名) が他人にうつしたと感じ, その中に患者も1名含まれていた. 経年連続接種と罹患率の関係はそのシーズンのみ接種12.3% (8/65名), 2年連続で接種5.4% (14/261名), 3年連続4.9% (8/164名) であった. またその罹患者のなかでB型インフルエンザの占める割合は, それぞれ87.5% (7/8名), 62.3% (9/14名), 37.5% (3/8名) と連続接種により有意に減少した. 21-40歳における検討では, 年齢が高いと罹患率は低いという相関はなく, また病棟および外来勤務について罹患率に差はなかったが, 家庭内で子どもや夫から感染する例が多かった. 年齢に関係なく, インフルエンザワクチンを経年連続接種するとともに, 家族に接種を勧めることが大切であると考えられた.

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© 日本環境感染学会
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