抄録
本論文の目的は、被介護意向の規定要因を、経済的背景に着目して明らかにすることである。子による介護を受ける意向(被介護意向)を持つ人々が、経済的に余裕がある人々なのか、それとも余裕がない人々なのかを探る。具体的には、介護が必要な状態になったときに子による介護を受けるか否かという回答が、世帯収入や世帯貯蓄とどのように関連しているのかを検討する。分析の結果、女性のみに経済状態との関連が確認され、被介護意向と世帯貯蓄との関連にカーブ効果が認められた。すなわち、世帯貯蓄が一定以下の場合と一定以上の場合の双方において、被介護意向が表明される傾向にあることが確認された。