環境感染
Online ISSN : 1884-2429
Print ISSN : 0918-3337
ISSN-L : 0918-3337
歯周病関連菌biofilmに対するポビドンヨード含嗽剤のin vitro殺菌力
清水 正樹田端 麻紀子平石 徹高田 利彦疋田 宗生石原 和幸中川 種昭
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 21 巻 3 号 p. 155-161

詳細
抄録

In vitro歯周病関連菌biofilm形成モデルを構築し, 本モデルに対するポビドンヨード (PVP-I) を含む各種含嗽剤の殺菌力を検討した. ポリカーボネイトメンブレン (PCM) 上でActinobacillus actinomycetemcomitans Y4 (ATCC 43718) を単独培養することにより本菌biofilm像が, またA.actinomycetemcomitans Y4, Streptococcus oralis ATCC 10557およびFusobacterium nucleatum ATCC25586を混合培養することにより上記3菌種の混合biofilm像 (共凝集像) が観察され, 本歯周病関連菌biofilm形成モデルの構築が確認された.A. actinomycetemcomitansを1および3日培養することにより形成されたbiofilmに対して0.23%PVP-Iを3分間作用させた場合, 本菌の生菌数変化はそれぞれ-3.59および-3.39 (Δlog10CFU/mL) であり, 本菌biofilmに対するPVP-Iの殺菌力は0.02%塩化ベンゼトニウム (BEC) および0.002%グルコン酸クロルヘキシジン (CHG) と比較して強かった.また本菌biofilmに対して0.23%PVP-Iを1分間×3回/日繰返し作用させた場合, 5日目における本菌の生菌数変化はそれぞれ-4.85および-3.55 (Δlog10CFU/mL) であった.A.actinomycetemcomitans, S. oralisおよびF. nucleatumを1日混合培養することにより形成されたbiofilmに対して0.23%PVP-Iを3分間作用させた場合, 上記3菌種の生菌数変化はそれぞれ≦-3.00, -2.31および≦-1.50 (Δlog10CFU/mL) であり, 3菌種の混合biofilmに対するPVP-Iの殺菌力は0.02%BECあるいは0.002%CHGと比較して強かった. 以上, 歯周病関連菌biofilmに対してPVP-Iが有効であることが明らかとなった.

著者関連情報
© 日本環境感染学会
次の記事
feedback
Top