環境感染
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カルバペネム薬の使用制限下によるイミペネム耐性緑膿菌と多剤耐性緑膿菌の検出率の推移
宮崎 博章入江 利行素元 美佐溝口 裕美永山 眞紀
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2006 年 21 巻 3 号 p. 162-167

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抄録
本邦では, メタロ-β-ラクタマーゼ (MBLs) を獲得した緑膿菌が多くの病院で検出され, 院内感染として社会的に問題となっている. 当院では, 2002年初めから, MBLsを産生する多剤耐性緑膿菌の院内感染を経験した. カルバペネム薬の過剰使用と長期投与, さらに, 不十分な院内感染対策が, この原因の一つと判断して, 2003年1月より, ICT (infection control team) が中心となり, 抗菌薬適正使用を目的として, 抗菌薬管理システム ((1) 院内適正使用ガイドラインの作成,(2) カルバペネム薬の使用制限,(3) 使用期間の制限,(4) 使用状況の情報開示) を構築, 実施した. また, 同時にCDCのガイドラインに準じた院内感染対策を開始した. カルバペネム薬使用量AUD (antimicrobial use density) はシステム実施前22.5±4.0 (2002年) から, 実施後9.3±1.3 (2003年), 5.9±0.9 (2004年) と有意に減少した (p<0.01).また, imipenem (以下IPM) に対する耐性率は, 実施前20.5%から, 実施後13.8%, 5.7%と耐性率は有意に低下した (p<0.01). また, 多剤耐性緑膿菌の検出率も実施前5.1%から, 実施後1.7%, 0.7%に有意に低下した (p<0.01). カルバペネム薬の使用量の削減と使用期間の制限により, IPM耐性緑膿菌と多剤耐性緑膿菌の検出率を低下させた. ICTが抗菌薬管理を運営することで, カルバペネム薬の削減が可能となり, 多剤耐性緑膿菌の院内感染をコントロールできる可能性が示唆された.
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© 日本環境感染学会
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