環境感染
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鼻咽喉内視鏡の洗浄・消毒の実態と感染予防策の検討
安岡 砂織小椋 正道矢野 久子和田 順子寺島 宏岡本 典子脇本 幸夫溝上 雅史森 雅美奥住 捷子大楠 清文江崎 孝行間宮 紳一郎
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2006 年 21 巻 4 号 p. 263-268

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抄録
耳鼻咽喉領域の診察時には鉗子孔が無い鼻咽喉軟性内視鏡が繁用されるが, この機器の洗浄・消毒に関する検討はほとんどなされていない. そこで, A病院耳鼻咽喉科病棟処置室で使用している (1) 鼻咽喉軟性内視鏡 (以下, 内視鏡) と (2) 消毒に使用するグルタラール (以下, GA), および (3) 用手法にてこの機器を洗浄・消毒する看護師を対象とし, 同病院における現状の洗浄・消毒方法での内視鏡器具を介した病原体伝播の可能性について検討した. 方法は (1) GAの濃度・pH測定,(2) 内視鏡本体と (3) 28日間使用後のGAからの細菌学的検索,(4) 内視鏡洗浄・消毒時間測定と看護師の個人保護具 (Personal Protective Equipment) 装着の有無 (直接観察法) である.その結果, 28日間連続使用したGAで消毒した内視鏡先端部からBacillus psychroduransが1回検出された. 使用開始時のGA平均濃度は3.5±0.07%, pH8.00±0.01, 28日間使用後のGA平均濃度は2.2±0.1%, pH7.71±0.05であり, GAからの細菌検出はなかった. 内視鏡洗浄・消毒は8名の看護師が行い, GA浸漬前の合計洗浄平均時間は24.6±25.8秒で, 最短3.0秒, 最長130.0秒であった. 消毒効果が期待できるGAの条件であったにも関わらず, 消毒後の内視鏡先端部からB. psychroduransが検出されたのは, 洗浄時間が不十分であったことが要因と示唆された. 洗浄や消毒の工程において, 特に丁寧な洗浄を行うように周知徹底することが感染予防上きわめて重要である. 鉗子孔が無い鼻咽喉内視鏡の洗浄・消毒に関しても, 消化器および気管支内視鏡と同様にガイドラインの作成とその遵守が急務と考える.
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© 日本環境感染学会
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