環境感染
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ヒト培養細胞由来B型肝炎ワクチンの有用性の検討
藤瀬 清隆春日 葉子鈴木 憲治内藤 嘉彦小林 正之久保 政勝
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2006 年 21 巻 4 号 p. 258-262

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抄録

ヒト培養細胞由来の沈降B型肝炎(HB)ワクチンを当院附属看護専門学校学生(看護学生)と当院職員の集団接種へ新規導入を検討するため, 従来当院で用いてきたHBワクチンと獲得HBs抗体価および副反応につき比較検討を行った.
2000年度のHBワクチンの集団接種を看護学生にはヒト培養細胞由来HBワクチン(M群)を, 職員には従来通り酵母由来組換えHBワクチン(B群)を0, 4, 24週目に筋肉内接種を行った. 3回の接種を完了した看護学生56名(女性, 19~32歳, 平均20.9歳), 職員23名(女性, 21~32歳, 平均23歳) を対象として解析を行った.
最終獲得HBs抗体価を両群間で<100, 100~599, 600~1999, 2000~3999, ≧4000mIU/mLの5層に分けて比較すると, M群では≧4000に50%以上が, B群では<100と100~599に50%以上が分布し, M群がp<0.001で有意に高抗体価であった. 一方, 副反応の発現数と発現率の比較では, 各回の接種毎のアンケート調査で回答が得られたM群のべ168名とB群のべ54名において, 全身症状はM群10名 (6.0%), B群3名 (5.5%) に, 局所症状はM群11名 (6.5%), B群10名 (18.5%) に各々みられ, 局所症状においてB群がp<0.05で有意に高頻度であった.
以上のことから, ヒト培養細胞由来HBワクチンの有用性が示された.

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